ねりまチャイルド ~練馬区で「子どもの権利条例」制定をめざす会

ねりまチャイルドは、練馬区で「子どもの権利条例」制定をめざし、活動する団体です

【練馬区教育委員会委託 子育て講座】 一緒に、子どもの権利条約を学びましょう 第2回「遊びは子どもの主食です」開催レポート

10月2日(日)14時~貫井図書館で、

練馬区教育委員会委託 子育て講座】

一緒に、子どもの権利条約を学びましょう

第2回「遊びは子どもの主食です」

を開催しました。

 

講師は、斎藤史夫先生(家政学院大学准教授)。

https://fumichan.tokyo/

 

子どもにとって、遊びがどれだけ大切か、よくわかる講座となりました。

レポートをぜひお読みください!

 

                                 

【はじめに~好評の「算数教室」からスタート!】

 

■「プチ・びっくり算数教室」

 

前回の感想で人気だった「算数」コーナー。

 

今回は……

 

氷結!!?

缶チューハイの勉強……ではなく、折り紙です。

 

先生が歌う『氷結サンバ』を聴きながら、

「吉村パターン(ダイヤカット)」

と呼ばれる折り方を体験しました。

 

生活のなかで、立体図形をつくり、発展させていく。

科学って、身近なんですね!

 

 

 

【あたり前の子どもの姿 ~コロナ禍に考える】

 

■私たちはすべての子どものしあわせ実現を目指す、研究的共同実践者

 

☆すべての子どものしあわせ

☆子どもにとって一番良いこと

…のため

 

 

■コロナ禍の一斉休校 ~子どもたちは何を望んでいた?

 

◇3000人近くの小学生にアンケート

・1位「遊ぶのが好き」55.6%

・2位「友達を大切にする」38.8%

 

セーブ・ザ・チルドレン「緊急子どもアンケート」ワードクラウド

・「友だち」が一番言葉の批准が大きかった

 

国立成育医療研究センター「コロナ×こども」第1回アンケート

Q:子どもたちの困りごと

・1位「お友だちと会えない」

・2位「学校に行けない」

→1、2位はセット

 

◇皆さんのまわりの子どもたちの様子は?

 

 

■遊動 ~人類史・進化史から考える子どもの本質

 

理研「赤ちゃんの泣きやみと寝かしつけの科学」(2022/9/14)

・輸送反応

→哺乳類の赤ちゃんに生得的に備わっている、運ばれるときにおとなしくなる反応。

 

◇参考「人類史のなかの定住革命」

・一か所に留まるようになったのは最近のこと

・1万年くらいしないと変わらない

 

◇次に来るのは新たな遊動の時代か

・前京大総長・山極壽一

・参考『スマホを捨てたい子どもたち』ポプラ新書

 

◇人の心の成立には

・非認知発達科学の視点から~明和政子

・共同養育、他者への共感、サルまね(模倣)

・サルはサルまねできない…できるのは人間だけ!

 

◇子どもは遊んで・動いて・人とつながって・学んで 育つ!

 

 

日弁連からの提案

 

日弁連『子どもの権利基本法の制定を求める提言』

・4つの基本原則が足りないのではないか

→「第5条の3」に「遊ぶ権利」を

「遊ぶ権利は最も子どもらしい権利である」

 

 

 

【子どもが子どもらしく生きて育つための基盤 第31条】

 

■第31条は子どもの「文化」の権利

 

◇子どもが子どもらしく生きて育つための権利(子どもの文化権)

①休息・余暇

②遊び・レクリエーション

③文化的生活・芸術への参加

 

◇この訳語で合っているか?

・英語で書くと…

①rest and leisure

②play and recreational activitires

③culutural life and the arts

 

 

■休息・自由時間(rest and leisure

 

◇休息

・国連ゼネラルコメント「休息の権利は、子ども達の最大限の健康と幸福を保証するために、子ども達が、仕事、教育、あらゆる種類の激しい活動からの十分な小休止を与えられることを求めている。

また、子どもたちに十分な睡眠が与えられることも求めている」

 

◇自由時間

・「余暇は、子どもたちが好きに使える自由な時間」

・日本語のレジャーには余暇を利用して楽しむことの意味があるが、leisureにはその意味はない

・国連ゼネラルコメント

余暇とは…「自由で束縛のない時間」

「主として、子どもが思うように使用できる自由裁量の時間」

・つまり

=子どもが好きに使える自由な時間

=何もしない時間も認められる、ぼーっとする権利

 

◇参考『学ぶ脳』

「ぼんやりにこそ意味がある」

「ぼんやりの中でひらめきが生まれる」

「脳の流儀で学べ!」

 

・基本系ネットワーク(デフォルト・モード・ネットワーク)

→ぼんやりしたときに活動する

→様々な気づき、創造のきっかけ、社会的認知~自己と他者の関係

 

◇算数とぼーっとする権利の関係

ニュートンは創造的休暇→万有引力の構想を練っていた

デカルト→体が弱い→学校で「寝てていい」と言われて寝ながら勉強していた→脳が動いていた?

・「ぼーっとするな」と言っていたら、新しいシステムは生まれない!?

 

 

■遊び・レクリエーション(play and recreational activities

 

◇「遊びは子どもの主食。成長発達のためのエネルギー源です」

「あそびは自由な時間から生まれる」

「レクリエーションは子どもを生きかえらせる」

 

◇コロナ禍でも「子ども時代」を保障する創造的な代替策を

・国連子どもの権利委員会2020年4月に声明

・「(31条の)権利を子どもが教授できるようにするため、創造的な代替策を探求すること(1日最低1回の屋外活動など)」

・「子どもの意見を考慮すること」

 

◇それでも子どもたちは遊んでいる

・名もない遊び、小さな遊び

例:ふりかけ交換(中学校)←コロナ前はおかず交換が流行っていた

例:お地蔵さん

 

◇子どもの権利と行政

  • 神戸市「休校期間中の子どもを対象としたNPO等への活動助成」

・コロナが始まってすぐやった

「屋外限定」「各回10人限定」「非接触の内容」「公共交通機関を利用しない」

・アフタフバーバン「晴10活動」→3散(分散・拡散・発散)で遊ぼう!

 

・子どもとも相談し、話し合って(作戦会議)

・外遊びとお菓子パーティ、気配斬り

・昔の遊びは3密じゃない!

 

  • 福岡県の学童保育(教育のつどい2021より)

・ソーシャルディスタンスババ抜き、〃チャンバラ、〃ダンス

・楽しく遊んでいても不安

・秋まつり、初のハロウィン

緊急事態宣言

→パネル返しゲーム「パンデミック

→大声大会「自粛ストレスを発散せよ」

→3”蜜”トッピング「クラスターパン」

→サイレンが鳴りマスク警察、自粛警察が追いかけてくる!

 

(参考)東日本大震災で、地震ごっこなどが流行ったのと同じ

 

☆行政もこういうことをやってほしい!!

 

 

日本医師会と日本小児科学会も…

・遊びをすすめるポスターを制作

・ホームページから頼むと送ってもらえるそうです

 

◇韓国の地域児童センターに学ぶ(下記)

 

 

■文化的生活・芸術への参加(cultural life and the arts

 

◇「子どもは文化的生活をとおして自分を知り、他人を知り、人として育ちゆく」

 

◇韓国の地域児童センターに学ぶ(下記)

 

 

 

【日本の子どもに「子ども時代」を ~世界・日本の歴史から学び・対話しながら】

 

■子ども市民とともにつくる地域へ ~韓国地域児童センター調査も参考に

 

◇地域児童センター

・韓国・児童福祉法に基づく

・日本で近いのは学童保育

 

◇基本的生活の保障

・子どもの貧困対策を国家で

・公的予算でご飯を保障

・夕食が全部出る(人件費、食材費すべて)

・夏休みはお昼も

 

◇子ども自治

・遠足に行く場所→子ども自治会で決める

・大人→美術館、博物館⇔子ども→サウナ、映画館→そこも行く

 

◇遊び場プロジェクト発表会

・地域住民・若者の意見を事前にヒアリング

・区長、公務員、区議会議員を招待

・作りたい遊び場、現在の遊び場の改善点、ヒアリングした意見をプレゼン

→区長が感動

→遊び場ができた!

 

◇サンマル(山の端)遊び場開場式辞

・子どもに挨拶させた

・「遊び場は、子どもたちがあそ部ところなのになぜ子どもたちの意見を聞かないのかと」

・センター長「子ども達は、ぼやいて他人のせいにするより、自ら努力する過程を経験」「連帯して成長した」

 

◇子ども図書館

・子どもたちが自分たちでつくった

・ソウル市からお金が出る

 

◇ソウル市から音楽の先生を派遣(2018年)

・オーケストラまで上達!

・ソウル市からお金が出る

 

ユニセフ こどもにやさしいまちづくり

・ソウル市ソンブク区 中高生の遊び場ミウミウ

・銀行の3階

・「遊びキュレーター」

 

 

■子ども時代の享受

 

◇国連・子どもの権利委員会勧告

・「社会の競争的な性格により子ども時代と発達が害されることなく、子どもがその子ども時代を享受することを確保するための措置をとること」

→31条の見直しが重要!

・「遊ぶことをやめない、学ぶことをやめない、つながることをやめない」

「ボクがボクであるためにワタシがワタシであるために」

「自分で考える、仲間と考える、思ったことを声に出す」

「『一番いいこと』を見つけ出すために!」

 

 

 

【Q&A、感想】

 

■参加者Q1

・子どもの権利、大人に置き換えてもいいのか?

↓先生A

・すごく大事な問い

・じゃあ大人の権利はどうなの?と考える

・子どもと一緒に楽しめるかが問われる

・大人の生活が問い直される

・休息、余暇、遊ぶ、文化の権利→大人も大事にされなきゃいけない

(例)ドイツ→学費無料、6時間労働、数か月に一回外国に旅行、夏は3週間バカンス…

(例)デンマーク→16時には毎日帰宅

子どもの権利と同時に、大人の権利・生活も大切にしないと、子どもに厳しくなる

・子どもの権利と大人の権利→セット!

 

■参加者Q2

・若い頃は忙しくて『子どもの権利条約』を読めなかった

・若いママさんの悩みを聞いていて思うのは…

・学校の先生が、権利条約を勉強する時間がないのでは

・そっちに時間を割いてもらいたい

↓先生A

(例)学校アンケート

・子ども「教室でのんびりできるようにしてほしい」

→カーペットとソファがほしい、教室でお茶が飲めるようにしてほしい…など

→校長、先生が賛成

教育委員会「子どもが言うならOK」

→カーペット、ソファ、湯沸かし器、ついでにココアまできた!

・子どもの権利がわかると、環境がよくなる!

・先生、学校にとってもいいことばかり!

・「権利」難しい言葉だが…

子どもも一緒に生活をつくっていく仲間と考えると、楽しい先が見える

 

 

 

【参考文献】

『市民力で創る子育てとコミュニティ』

『ワニブタ絵本ガイドブック』

『子ども白書2022』

子どもの権利条約ゼネラルコメント(総合的解説)No.17』

学童保育研究の課題と展望』