ねりまチャイルド ~練馬区で「子どもの権利条例」制定をめざす会

ねりまチャイルドは、練馬区で「子どもの権利条例」制定をめざし、活動する団体です

10/25学習会レポート「今、子どもの居場所や子ども食堂では」

10/25学習会レポート
「今、子どもの居場所や子ども食堂では」

講師:佐藤 崇 さん

☆なゆたふらっと(子どもの居場所)の取り組み

なゆたに出会うまで

学生時代に所属のゼミ生たちによって大学内で始まった、自主夜間中学の活動に加わる。
そこの生徒さんの7・8割は在日韓国人のオモニたちで、識字(基本的な読み書き)のニーズが高く、彼女たちから「人は自身が学びたいことは幾つになっても能動的に学ぶもの」という、学びの本質を教えられた。

一方少数派だった登校拒否児たちとのかかわりに割ける時間が足りず、少し物足りなかった佐藤さんは、卒業後、登校拒否児のお母さん方が、当時行き場のなかった我が子たちのために共同保育の様な活動を始めていたなゆたふらっとの前身「友だちひろば なゆた」に出会うことになる。

なゆたに出会ってから

そこから20数年が経つ途中、在籍する子ども平均1~3名程度で推移する。

2011年の震災後、長年空席だった代表を現代表が引き受けると同時に、「なゆたふらっと」として再スタート。運営資金は、それまでの利用者家庭からの月謝制をやめ、代わりに関係者すべてが年度単位で出しうる任意の金額を、それぞれの出せるタイミングで入金していただく形式(0円も可)に変更している。

現在は、水・金曜日の午後、最大10人ほどの子ども達が利用している。

石神井ゆうやけ子ども食堂 の取り組み

取り組みのきっかけは、賃貸で確保している拠点を共同利用している教会の牧師さんより、「なゆたふらっと」と子ども食堂のしていることはかぶっているのではと言われ、一緒に要町の子ども食堂を見学に行った。

すごいと思って、2014年の秋より始めた。現在多い時で、50食くらい作って出している。

☆Q&A

① コロナ禍でやりづらいことは?

「なゆたふらっと」は40㎡ほどのスペースでやっているので、密を避けにくく、やむなく週一回に減らして、換気に気をつけ、消毒をするなどして対応した。結果オーライだが、現在まで一人も感染者は出していない。

石神井ゆうやけ子ども食堂」は、お弁当に仕様を変え、持ち帰りにしてもらって対応した。状況が少し落ち着いてからは、子どもだけは、食堂で食べてもらうようにしていった。

② 逆に、コロナ禍で子どもが増えたとも伺っていますが…

春の一斉休校以降、まず登校児の出入りが増えた。彼らは以前からの子ども食堂の参加者。自粛生活が長引くと親子でストレスをため、なゆたに息抜き、気分転換にくるという感じ。また新規の不登校児も増えている。

食堂の方には、仕事が無くなったからだろう親御さんのところなどから、3件(10食)ほど新たに来るようになり、又、来なくなっていた子も復活した。余りのお米や野菜をつけて渡そうとすると断る人はいない。

③ この活動で大切にしていることは?

子どもが「決める」ということをいつも一番に考えている。大人のイメージで誘導せず、こどものタイミングベースで行っている。

☆その他の質疑応答

助成金の利用はありますか?

A何件か利用している。非常に助かっている。

 

Q行政との関わりは?

練馬区には区民協働課があるが、区民の黒子というスタンスであり、年に2回ほど招集をかけてくるが、議題も用意されてない。区民の能動待ち。

唯一、こちらが要望した区内子ども食堂の一覧情報・マップづくりは実行してくれ、住民からの問い合わせにはそれを使っての情報提供はしてくれている。

 

Q区の生活保護課との関わりは?

生活保護課が自主的に「子ども食堂」のチラシや先程のマップを生活保護世帯に配布するといったことはしていないと思う。

区内の他の子ども食堂の中には行政や学校に積極的にアプローチして独自に生活困窮世帯の捕捉に努めているところもある。

うちの子ども食堂は、ターゲットを貧困家庭にフォーカスし貧困対策上の費用対効果を狙う方向性はとっていない。もう一つの方向性として、“地域のお茶の間”的なイメージで子どもに限らず、だれでも参加できるようにしている。

それは居場所にくる子どもたちに、学校外には雑多で多様な大人の存在があることを見せておきたいという思いがあるから。

 

Q食材を企業や業者さんから定期的に仕入れていますか?

A定期的にはないが、スポットで、知り合いの業者さんや、個人のかたから、お米などをいただくことがあります。

また、近隣の体験農園に複数の子ども食堂共同で区画を確保しており、畑作業を年間を通じて行って採った野菜を一定程度確保、他の区画の方々からも野菜が集まってくる。子どもたちも、たまに気が向くと収穫に来ることもある。

 

Q「なゆたふらっと」も「石神井ゆうやけ子ども食堂」も利用者の条件はありますか?

Aないです。地域も、他区や埼玉県から来ていたお子さんもいます。

 

Q全国的な子ども食堂のネットワークはありますか?

A5000店くらい加盟している「全国子ども食堂ネットワーク」というのがあります。
通販生活」がこの組織立ち上げ時に新宿にある社屋の会議室を、要町やだんだんさん、うちなどの活動先行者に提供してくれ、設立準備作業に大変助かった。

事務局機能は今も「通販生活」の社会貢献活動として位置づけられている。現在は立ち上げ希望者へのノウハウ提供や情報交換、各種食材・物資の支援や融通が中心ミッション。

ただ設立から5年以上経ち、会員数が膨大かつ全国におよんでいる。子ども食堂の活動では近隣地域同士でのつながり、ネットワークの方が実効性が高くなるため、各地域で小規模のネットワークもつくられ、二重構造になってきた。

 

不登校の子ども達を預かり、地域で活動を続ける中で子ども達に変化は?

A今の子ども達は、昔より学校に行かないことをそれほど気にしていないようです(それでも気にしています)。親御さんもしかり。

かつては、最初に親御さんと二人で見学にきて、親御さんだけが話して帰り、それきり、というケースが多かったが、最近は子ども単独で来てすぐなじむこともある。なかには一度も連絡とれていない親御さんもいます。子どもだけを預けられている感じが強くなり、かつての共同保育的な親が中心という運営スタイルから様変わりしている。

また、子ども食堂を始めたことで不登校児と登校児が一緒の時間・空間を共有するような場面が増え、お互いの境遇について相互理解が進みつつある感触がある。

 

Q子どもにとっての居心地の良さとはなんだと考えますか?

A僕らは、子どもに意図的に居心地よくいてもらおうと思ってはやっていません。こちらから、やるよー、やろうよーて感じではなく、何もしなくても別にOKみたいな、雰囲気でやってます(それが結果として子どもにとって居心地がいい、ということはあるかも知れません)。

ただ、やると決まっている日はいつ来ても開いていて、必ず誰かがいるという空間にしています。

 

☆最後に…

不登校児を預かり、施設自体も閉じた空間だった「なゆたふらっと」が、その延長線上ではあるものの、子ども食堂を始め地域との関わり合いができました。そのことで、地域の人達が受け入れてくれるようになり、子ども達にも地域にも良い影響が生まれたとのことです。

佐藤さん達のされている活動は本当に魅力的で意味のある活動だと思います。ゆるい中にも、静かな熱量を感じます。

私たち、ねりまチャイルドも応援します!
これからも頑張ってください!!
2020・10・25